6節点三角形要素(TRIA6) — 理論と支配方程式

カテゴリ: 構造解析 | 2026-01-15
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理論と物理の世界へ

LST要素 — CSTの上位版

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6節点三角形要素(TRIA6, LST)はCSTの問題を解決した要素ですか?


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そう。LST(Linear Strain Triangle)は要素内でひずみが線形に変化する二次三角形要素だ。CSTの定ひずみの問題を完全に解消している。


形状関数

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TRIA6は3つの頂点ノードと3つの辺中点ノードを持つ。形状関数は面積座標 $L_1, L_2, L_3$ の二次多項式:


頂点ノード:

$$ N_i = L_i(2L_i - 1) $$

辺中点ノード:

$$ N_{ij} = 4L_i L_j $$

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TET10の2次元版ですね。


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まさにそう。TRIA6 = TET10の2D版、CST = TET4の2D版。同じ関係だ。


精度

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収束速度

  • 変位: $O(h^3)$(CST は $O(h^2)$)
  • 応力: $O(h^2)$(CST は $O(h)$)

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Q8と同じ収束速度ですね。


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そう。TRIA6とQ8は同じ次数(二次)の要素だから、収束速度は同じ。ただしQ8のほうが要素あたりの精度はやや高い(8項 vs. 6項の多項式)。


TRIA6 vs. Q8

特性TRIA6Q8
自動メッシュ容易やや困難
DOFあたりの精度Q8の70〜80%基準
曲辺対応辺中点がある辺中点がある
メッシュ品質への敏感性Q8より頑健歪みに敏感
適応メッシュ容易やや困難
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TRIA6は精度効率ではQ8に劣るが、メッシュ生成の容易さで勝る。TET10 vs. HEX20と同じ構図ですね。


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完璧な理解だ。2次元でも3次元でも「三角形/四面体は自動メッシュが容易、四辺形/六面体は精度が高い」という構図は共通だ。


数値積分

積分点数精度
3点Gauss(完全積分3二次多項式を厳密に積分
1点Gauss1精度不足(使わない)
7点Gauss7高次の積分に使用
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通常は3点で十分ですね。


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そう。TRIA6は3点の完全積分が標準。シアロッキングは起きない(二次要素だから)。体積ロッキングも通常は問題ない。非常に安定した要素だ。


まとめ

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TRIA6の理論を整理します。


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要点:


  • 二次三角形要素(LST) — CSTの上位版。ひずみが線形変化
  • TET10の2D版 — 自動メッシュの利点を継承
  • 収束速度はQ8と同等 — ただしDOF効率はQ8が上
  • メッシュ品質に頑健 — 歪んだ形状でもQ8より安定
  • 3点Gauss積分で十分 — ロッキングなし

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CSTが「使うな」の要素なら、TRIA6は「安心して使える」要素ですね。


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その通り。TRIA6は2次元の自動メッシュ解析で最も信頼性の高い三角形要素だ。


Coffee Break よもやま話

タイタニック号と安全率の教訓

「不沈」と謳われたタイタニック号は、低温でのリベット材の脆性破壊が沈没の一因とされています。現代の破壊力学CAEでは、温度依存の材料特性と応力拡大係数を計算して「その温度で本当に大丈夫か?」を事前に検証できます。技術の進歩は、過去の悲劇から学んだ結果です。

各項の物理的意味
  • 慣性項(質量項):$\rho \ddot{u}$、つまり「質量×加速度」。急ブレーキで体が前に投げ出された経験はありませんか? あの「持っていかれる感じ」がまさに慣性力です。重い物体ほど動き出しにくく、動き出したら止まりにくい。地震で建物が揺れるのも、地面が急に動いたのに建物の質量が「置いていかれる」から。静解析ではこの項をゼロにしますが、それは「ゆっくり力をかけるから加速度は無視できる」という仮定です。衝撃荷重や振動問題では絶対に省略できません。
  • 剛性項(弾性復元力):$Ku$ や $\nabla \cdot \sigma$。ばねを引っ張ると「戻ろうとする力」を感じますよね? あれがフックの法則 $F=kx$ であり、剛性項の本質です。では質問——鉄の棒とゴム紐、同じ力で引っ張るとどちらが伸びるでしょうか? 当然ゴムです。この「伸びにくさ」がヤング率 $E$ であり、剛性を決めます。よくある勘違い:「剛性が高い=強い」ではありません。剛性は「変形しにくさ」、強度は「壊れにくさ」で、別の概念です。
  • 外力項(荷重項):体積力 $f_b$(重力など)と表面力 $f_s$(圧力、接触力など)。こう考えてみてください——橋の上のトラックの重さは「中身全体にかかる力」(体積力)、タイヤが路面を押す力は「表面だけにかかる力」(表面力)。風圧、水圧、ボルトの締付力…すべて外力です。ここでありがちな失敗:荷重の方向を間違える。「引張」のつもりが「圧縮」になっていた——笑い話に聞こえますが、3D空間で座標系が回転していると実際に起こります。
  • 減衰項:レイリー減衰 $C\dot{u} = (\alpha M + \beta K)\dot{u}$。ギターの弦を弾いてみてください。音は鳴り続けますか? いいえ、徐々に小さくなりますよね。振動エネルギーが空気抵抗や弦の内部摩擦で熱に変わるからです。車のショックアブソーバーも同じ原理——わざと振動エネルギーを吸収して乗り心地を良くしています。もし減衰がゼロだったら? 建物は地震の後いつまでも揺れ続けることになります。実際にはそうならないので、適切な減衰の設定が重要です。
仮定条件と適用限界
  • 連続体仮定:材料を連続的な媒質として扱い、ミクロな不均質性を無視する
  • 微小変形仮定(線形解析の場合):変形が初期寸法に比べて十分小さく、応力-歪み関係が線形
  • 等方性材料(特に指定がない場合):材料特性が方向に依存しない(異方性材料では別途テンソル定義が必要)
  • 準静的仮定(静解析の場合):慣性力・減衰力を無視し、外力と内力の釣り合いのみを考慮
  • 適用外ケース:大変形・大回転問題では幾何学的非線形性が必要。塑性・クリープ等の非線形材料挙動では構成則の拡張が必要
次元解析と単位系
変数SI単位注意点・換算メモ
変位 $u$m(メートル)mm入力時は荷重・弾性率もMPa/N系に統一すること
応力 $\sigma$Pa(パスカル)= N/m²MPa = 10⁶ Pa。降伏応力との比較時に単位系の不一致に注意
歪み $\varepsilon$無次元(m/m)工学歪みと対数歪みの区別に注意(大変形時)
弾性率 $E$Pa鋼: 約210 GPa、アルミ: 約70 GPa。温度依存性に注意
密度 $\rho$kg/m³mm系ではtonne/mm³(= 10⁻⁹ tonne/mm³ for 鋼)
力 $F$N(ニュートン)mm系ではN、m系ではNで統一

数値例:片持ち梁の先端荷重(L=1m, 断面50×100mm, 鋼材E=210GPa, P=1kN)

最大たわみ δ = PL³/(3EI) = 1000×1000³/(3×210000×4,166,667) ≈ 0.381 mm 最大応力 σ = PL×(h/2)/I ≈ 12.0 MPa(降伏応力235MPaに対して安全率19.6)

メッシュ密度を変えた収束性の確認:

粗いメッシュ(500要素)0.362 mm
-5.0%
中程度(2,000要素)0.378 mm
-0.8%
細かいメッシュ(8,000要素)0.380 mm
-0.3%
理論解0.381 mm
基準

ポイント:要素数を4倍にしても結果は0.5%しか変わらない→8,000要素で十分収束。これが「メッシュ収束性」の確認です。

簡易計算ツール:構造力学基礎

片持ち梁の先端集中荷重における最大たわみ・最大応力を計算します。

単軸応力状態における応力・歪み・伸びの相互換算。

CAE実務でよく使う単位の換算。

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