クリーンルーム気流解析 — 商用ツール比較と選定ガイド
商用ツール比較
クリーンルームCFDに適したツールってどれですか? 専用ソフトもあると聞きましたが。
汎用CFDソルバーに加えて、クリーンルーム専用の簡易ツールも存在する。それぞれの特徴を整理しよう。
対応ツール一覧
| ツール名 | 開発元 | 特徴 | クリーンルーム適性 |
|---|---|---|---|
| Ansys Fluent | Ansys Inc. | DPMが充実、多孔質モデル完備 | 非常に高い |
| Simcenter STAR-CCM+ | Siemens | ポリヘドラルメッシュ、自動化 | 非常に高い |
| Ansys CFX | Ansys Inc. | 結合型ソルバー | 高い |
| OpenFOAM | OSS | icoFoam/simpleFoam + DPM | 高い(設定に知識必要) |
| COMSOL Multiphysics | COMSOL AB | Particle Tracingモジュール | 中(小規模向き) |
| FlowDesigner | アドバンスドナレッジ研究所 | 建築空調特化、日本製 | 高い(空調設計向き) |
| Stream | クレイドル(MSC) | 建築・空調CFD | 高い(国内実績豊富) |
FlowDesignerやStreamは日本のクリーンルーム設計で実績が多いんですか?
そうだ。FlowDesignerは空調設計者向けのUIが充実していて、FFUや空調機の設定が直感的にできる。Streamも国内の建設会社で広く使われている。ただし高度なDPM解析や多相流が必要な場合は、FluentやSTAR-CCM+の方が柔軟だ。
ツール選定の判断基準
どういう基準で選べばいいですか?
用途に応じた選定が重要だ。
| 用途 | 推奨ツール | 理由 |
|---|---|---|
| 半導体ファブ全体の気流検証 | Fluent / STAR-CCM+ | 大規模DPM、HPC対応 |
| 空調設備の設計検討 | FlowDesigner / Stream | 設備設計者向けUI |
| ミニエン(局所清浄空間)の詳細評価 | Fluent / CFX | 精密なDPM + Brownian |
| 研究・パラメトリックスタディ | OpenFOAM | ライセンス無料、自動化 |
| 簡易的なレイアウト検討 | COMSOL | マルチフィジックス連成 |
Ansys Fluentでの設定例
Fluentで設定する場合の具体的な手順を教えてください。
1. Viscous Model: SST k-omega、Low-Re Corrections ON
2. Energy Equation: ON(温度分布評価時)
3. Porous Media: FFU面にFace Porous Jumpを設定
4. DPM: Injection → Surface injection(発塵面から)
5. Species Transport: 必要に応じてトレーサーガスの拡散解析
FFUのPorous Jump設定値の目安はこうだ。
| パラメータ | HEPA (H13) | ULPA (U15) |
|---|---|---|
| Face Permeability [m²] | 5.0e-10 | 2.0e-10 |
| Pressure Jump Coefficient [1/m] | 200 | 500 |
| Medium Thickness [m] | 0.065 | 0.065 |
フィルタグレードによって透過率が全然違うんですね。カタログの圧損曲線からフィッティングするわけですか。
その通り。メーカーのカタログに記載されている「面風速 vs. 圧力損失」のデータから最小二乗法でDarcy項(粘性抵抗)とForchheimer項(慣性抵抗)を分離する。
レイノルズの実験(1883年)——乱流発見の瞬間
オズボーン・レイノルズは、管内の水にインクを流す実験で「層流から乱流への遷移」を発見しました。流速を上げていくと、インクの線がある瞬間にグチャグチャに乱れる。この劇的な瞬間を、レイノルズは数学的に $Re = \rho uD/\mu$ という無次元数で表現した。100年以上経った今も、CFDエンジニアが最初に確認するのはこのレイノルズ数です。
ツール選定の直感的ガイド
ツール選びのたとえ
CFDツールの選定は「カメラの購入」に例えられる。スマートフォンのカメラ(簡易CFDツール/クラウドCFD)は手軽だが限界がある。一眼レフカメラ(商用CFDソルバー)は高性能だが重くて高価。プロ向けの中判カメラ(カスタマイズ可能なOpenFOAM等のOSS)は最高画質だが操作が難しい。目的に応じた選択が重要。
選定で最も重要な3つの問い
- 「何を解くか」:クリーンルーム気流解析に必要な物理モデル・要素タイプが対応しているか。例えば、流体ではLES対応の有無、構造では接触・大変形の対応能力が差になる。
- 「誰が使うか」:初心者チームならGUIが充実したツール、経験者ならスクリプト駆動の柔軟なツールが適する。自動車のAT車(GUI)とMT車(スクリプト)の違いに似ている。
- 「どこまで拡張するか」:将来の解析規模拡大(HPC対応)、他部門への展開、他ツールとの連携を見据えた選択が長期的なコスト削減につながる。
CFDメッシュの品質管理や乱流モデルの選定に悩む時間を、もっと創造的な設計作業に使えたら。 — Project NovaSolverはそんな実務者の声から生まれました。
CAEの未来を、実務者と共に考える
Project NovaSolverは、クリーンルーム気流解析における実務課題の本質に向き合い、エンジニアリングの現場を支える道具づくりを目指す研究開発プロジェクトです。
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