RBE2剛体要素 — 理論と支配方程式

カテゴリ: 構造解析 | 2026-01-15
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理論と物理の世界へ

RBE2とは

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先生、RBE2はFEMで最もよく使われる剛体要素ですよね。


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そう。RBE2(Rigid Body Element, Type 2)はNastranの用語だが、概念としては全てのFEMソルバーに存在する。1つの独立節点(マスター)に対して複数の従属節点(スレーブ)を剛体的に結合する。


動作原理

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独立節点の変位 $\{u_m\} = (u, v, w, \theta_x, \theta_y, \theta_z)$ に対して、従属節点 $i$ の変位は:


$$ u_i = u_m + \theta_{ym} \cdot \Delta z_i - \theta_{zm} \cdot \Delta y_i $$
$$ v_i = v_m + \theta_{zm} \cdot \Delta x_i - \theta_{xm} \cdot \Delta z_i $$
$$ w_i = w_m + \theta_{xm} \cdot \Delta y_i - \theta_{ym} \cdot \Delta x_i $$

ここで $\Delta x_i = x_i - x_m$ 等は独立節点からの距離。


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剛体の運動学の式ですね。「マスターノードが動くと、スレーブノードもそれに伴って剛体的に動く」。


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まさにそう。RBE2は剛体運動の拘束を強制する。スレーブノードは独立節点の変位と回転から一意に決まるため、スレーブノードの指定DOFは全体方程式から消去される。


RBE2の効果

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RBE2は構造に剛性を追加する。接続された領域は変形しなくなる。


効果説明
剛性追加接続部が無限に硬くなる
DOF削減スレーブのDOFが消去される
力の伝達マスターに作用する力がスレーブに剛体的に分配
変位の統一スレーブの変位がマスターに従属

典型的な使用場面

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  • 荷重の作用点 — 1点に力を与え、RBE2で面に分配(ただし剛性過大に注意)
  • ボルト穴の周囲 — 穴の周囲をRBE2で結合してボルトの締結を表現
  • 梁-シェル接続 — 梁の端部とシェルの面を結合
  • 支持条件 — 面が平面を保つ条件

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RBE2で「面が平面を保つ」条件を入れるのはどういうことですか?


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圧力容器の端面に軸方向の一様変位条件を入れたい場合、端面の全節点をRBE2で結合する。マスターノードの軸方向変位をフリーにすれば、端面は一体として軸方向に動くが、変位は拘束されない。


RBE2の注意点

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最大の注意点:RBE2は構造の剛性を増大させる。


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実構造の接合部は完全に剛ではないから、RBE2で結合すると硬すぎる結果になりますか?


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その通り。RBE2の接続部では:

  • 周囲の変形要素に応力集中が生じる
  • 全体の剛性が過大評価される
  • たわみが過小になる

「RBE2の近くの応力は信用しない」がFEMの鉄則。


まとめ

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RBE2の理論を整理します。


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要点:


  • 剛体結合 — マスターの動きにスレーブが剛体的に従う
  • 剛性を追加する — 接続部が無限に硬くなる
  • DOFを消去する — スレーブのDOFが減少
  • 接続部の応力は不正確 — 1〜2要素先で評価
  • 使いすぎ注意 — 必要最小限の範囲で使う

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RBE2は「便利だけど使いすぎると結果を歪める」要素なんですね。


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まさにそう。RBE2は「ハンマー」のようなツールだ。何でもRBE2で叩くのではなく、本当に剛体結合が必要な場面でのみ使う。荷重分配にはRBE3を使うべきだ。


Coffee Break よもやま話

NASAとNASTRAN — FEMの夜明け

今や世界中で使われている有限要素法ソルバー「NASTRAN」は、1960年代にNASAが開発しました。アポロ計画でロケットの構造解析が必要だったのです。当時のコンピュータはメモリ数KBの時代——今のスマートフォンの100万分の1以下の性能で、人類を月に送る構造計算をしていたのです。

各項の物理的意味
  • 慣性項(質量項):$\rho \ddot{u}$、つまり「質量×加速度」。急ブレーキで体が前に投げ出された経験はありませんか? あの「持っていかれる感じ」がまさに慣性力です。重い物体ほど動き出しにくく、動き出したら止まりにくい。地震で建物が揺れるのも、地面が急に動いたのに建物の質量が「置いていかれる」から。静解析ではこの項をゼロにしますが、それは「ゆっくり力をかけるから加速度は無視できる」という仮定です。衝撃荷重や振動問題では絶対に省略できません。
  • 剛性項(弾性復元力):$Ku$ や $\nabla \cdot \sigma$。ばねを引っ張ると「戻ろうとする力」を感じますよね? あれがフックの法則 $F=kx$ であり、剛性項の本質です。では質問——鉄の棒とゴム紐、同じ力で引っ張るとどちらが伸びるでしょうか? 当然ゴムです。この「伸びにくさ」がヤング率 $E$ であり、剛性を決めます。よくある勘違い:「剛性が高い=強い」ではありません。剛性は「変形しにくさ」、強度は「壊れにくさ」で、別の概念です。
  • 外力項(荷重項):体積力 $f_b$(重力など)と表面力 $f_s$(圧力、接触力など)。こう考えてみてください——橋の上のトラックの重さは「中身全体にかかる力」(体積力)、タイヤが路面を押す力は「表面だけにかかる力」(表面力)。風圧、水圧、ボルトの締付力…すべて外力です。ここでありがちな失敗:荷重の方向を間違える。「引張」のつもりが「圧縮」になっていた——笑い話に聞こえますが、3D空間で座標系が回転していると実際に起こります。
  • 減衰項:レイリー減衰 $C\dot{u} = (\alpha M + \beta K)\dot{u}$。ギターの弦を弾いてみてください。音は鳴り続けますか? いいえ、徐々に小さくなりますよね。振動エネルギーが空気抵抗や弦の内部摩擦で熱に変わるからです。車のショックアブソーバーも同じ原理——わざと振動エネルギーを吸収して乗り心地を良くしています。もし減衰がゼロだったら? 建物は地震の後いつまでも揺れ続けることになります。実際にはそうならないので、適切な減衰の設定が重要です。
仮定条件と適用限界
  • 連続体仮定:材料を連続的な媒質として扱い、ミクロな不均質性を無視する
  • 微小変形仮定(線形解析の場合):変形が初期寸法に比べて十分小さく、応力-歪み関係が線形
  • 等方性材料(特に指定がない場合):材料特性が方向に依存しない(異方性材料では別途テンソル定義が必要)
  • 準静的仮定(静解析の場合):慣性力・減衰力を無視し、外力と内力の釣り合いのみを考慮
  • 適用外ケース:大変形・大回転問題では幾何学的非線形性が必要。塑性・クリープ等の非線形材料挙動では構成則の拡張が必要
次元解析と単位系
変数SI単位注意点・換算メモ
変位 $u$m(メートル)mm入力時は荷重・弾性率もMPa/N系に統一すること
応力 $\sigma$Pa(パスカル)= N/m²MPa = 10⁶ Pa。降伏応力との比較時に単位系の不一致に注意
歪み $\varepsilon$無次元(m/m)工学歪みと対数歪みの区別に注意(大変形時)
弾性率 $E$Pa鋼: 約210 GPa、アルミ: 約70 GPa。温度依存性に注意
密度 $\rho$kg/m³mm系ではtonne/mm³(= 10⁻⁹ tonne/mm³ for 鋼)
力 $F$N(ニュートン)mm系ではN、m系ではNで統一

数値例:片持ち梁の先端荷重(L=1m, 断面50×100mm, 鋼材E=210GPa, P=1kN)

最大たわみ δ = PL³/(3EI) = 1000×1000³/(3×210000×4,166,667) ≈ 0.381 mm 最大応力 σ = PL×(h/2)/I ≈ 12.0 MPa(降伏応力235MPaに対して安全率19.6)

メッシュ密度を変えた収束性の確認:

粗いメッシュ(500要素)0.362 mm
-5.0%
中程度(2,000要素)0.378 mm
-0.8%
細かいメッシュ(8,000要素)0.380 mm
-0.3%
理論解0.381 mm
基準

ポイント:要素数を4倍にしても結果は0.5%しか変わらない→8,000要素で十分収束。これが「メッシュ収束性」の確認です。

簡易計算ツール:構造力学基礎

片持ち梁の先端集中荷重における最大たわみ・最大応力を計算します。

単軸応力状態における応力・歪み・伸びの相互換算。

CAE実務でよく使う単位の換算。

構造解析の収束問題や計算コストに課題を感じていませんか? — Project NovaSolverは、実務者が日々直面するこうした課題の解決を目指す研究開発プロジェクトです。

CAEの未来を、実務者と共に考える

Project NovaSolverは、RBE2剛体要素における実務課題の本質に向き合い、エンジニアリングの現場を支える道具づくりを目指す研究開発プロジェクトです。

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